結城紬のまちを訪ねて

2014-12-01

結城紬

 

広報☆須長です
先日、茨城県の結城市へ、「結城紬」のお勉強に行ってまいりました。

実は須長は、結城市のすぐ側の古河市の出身でして・・・
実家に住んでいた頃は、まさか自分が着物を着るようになるとはまったく
考えてもいませんでした。

でもこうして、年月を経て着物と出会い、仲間と出会い、自分のルーツでも
ある茨城県に改めて着物の勉強に出向くという出来事に、不思議なご縁を感じて
います。

着物の勉強をしていて、結城紬=茨城県、という認識はありましたが、まさか
こんなに身近な存在だったとは、驚きを隠せません。
だって、いわゆる近所の野菜くれるようなおばちゃまが、伝統工芸の
一端を担っているわけですよ

茨城県は、「魅力のある県ランキング」で不覚にも連続2年間ワースト1位という
記録を打ち立てておりまして、茨城出身者も、外部の方も、「なーんにもないところ」
という印象をお持ちなのだと思います。

しかし、それは間違いです!
実は、素晴らしい技術と精神が脈々と受け継がれている場所だったのです。

さあ、そんな私の郷土の名品・結城紬について、ご紹介していきたいと思います。

結城市は、こーんなところです
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関東平野のど真ん中に位置し、平坦な地形ですのでとっても遠くまで
見渡すことができます〜
あぁ素敵なネギ畑・・・おばあちゃんちに来たみたいな既視感(いや
私にとってはホントにリアル)ではないですかっ

結城紬は、家内制手工業(なんか社会で習いましたよね)なので
ご自宅の一部や別棟に作業場が設置されています。

まずは糸づくり・・・真綿から、糸を引き出していきます。
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キュッキュッと、絹の心地よい音が響きます
上手な方ほど、この音がしっかり鳴るそうです

この作業、50代〜の女性が引き出した糸が最高との
こと・・・唾液をつけながら糸をまとめていくのですが、男性の
唾液や、若い女性のものではまとまらないらしいのです

そして、結城紬は「先染め」の着物なので、綺麗な亀甲模様を織り出す
ために設計図どおりに墨をうち、木綿糸で固く結わえていきます。

こちらは、とても力が必要なので男性のお仕事・・・
むむ、うまく分業されています
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なんて細かいのでしょう〜〜〜〜
根気のいる作業です

結わえている箇所には染料が染み込まないので、白く抜けます。
それを縦糸・横糸とわたして織ることで、美しい亀甲模様が
浮かび上がり、さまざまな図柄を形成していくという仕組みです

さて、糸ができたらいよいよ織ります

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結城紬は高機ではなく、地機を使います

織り手さんの腰と地機がベルトのようなもので繋がっていて、ピンと張ったり
緩めたり・・・ということができます。
織っている間はずっと張っているので、かなり疲れると思います〜
全身を使って織っているようなものですからね。

結城紬の糸は撚りがかかっていないので、小麦粉の糊をつけて強度をあげて
いるのですが、やはり高機のようにずっと糸を張りっぱなしなのは負担が大きい
ため、このようなスタイルになったそうです。

織り手さんは、ただ織るだけではなくて・・・亀甲模様がズレないよう、
細かい微調整をしながら織り進めていくのです
模様が大変細かいので、目が悪くなったらできなくなる仕事だとおっしゃって
いました・・・

そして、織りあがってお嫁入り先も決まった反物は、湯通しをします。
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そう、強度をあげるためにつけていた小麦粉の糊を落とすのです

でも、完璧には落とさず、3割くらいの糊を残すのがまさに熟練の技
適度なハリが布に残って、着やすくなるそうですよ。

機械で反物の幅を調整(これもすっごく難しい)したら、天日干しです
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この湯通しと天日干しをする作業場は、道路から奥まった、パッと見では
わからない場所に設置されています・・・なぜかというと・・・

こちらで干されている反物は、すべてお嫁入り先が決まっている=売れた反物
ですので、いわゆる「売れ筋」の色柄、というわけなのです。

昔は、商売でしのぎを削っていたので、こちらで干してある反物を真似して
作れば売り上げがあがる、ということで「スパイ」wのような行動もあり
外部から見えないような場所に作業場を作ったとのこと・・・

こういったお話は、実際に作っていらっしゃる方からしか聞けないと思うので
本当に貴重な体験です。

さて、ここまで作業工程をざざっとご紹介いたしましたが、糸の準備で1ヶ月
織るのに1〜3ヶ月、注文してから忘れた頃に仕上がってくるとおっしゃって
いましたが、何からなにまで、すべてが手作業でとても細かいので、時間が
かかるのは当然です。

資料館も見学させていただきました。
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年代物の紬も展示してありましたが、美しい色合いは褪せることなく・・・
染色技術の高さを感じました。

お会いした職人の皆様はとても気さくで、でも誇りと自信を持って結城紬を作り
続けていらっしゃいました。
生まれ育った土地のすぐ側で、このような素晴らしい技術と想いが受け継がれて
いたことに感動を覚えました。

茨城ってなーんにもないんだよね、なんてこれからは言いませんよっ
茨城に結城紬あり、です。
地元を誇らしく思った、素敵な1日でした〜

ご一緒させていただきました皆様、結城市のみなさま、ありがとうございました
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